MECP2重複症候群(MECP2 Duplication Syndrome)とは主に男児におこり、X染色体上のMECP2遺伝子の重複が原因の進行性重度神経疾患です。

(同じMECP2遺伝子の変異(欠失)が原因で起こるものにレット症候群があり、主に女児におこります。)

主な症状は、反復性(周期性)の呼吸器感染症、難治性てんかん発作、重度の便秘があり、他にも、乳児期の低筋緊張、摂食困難、中度から重度の知的障害、言語習得困難、歩行困難や歩行不能、などがあります。また、平均寿命も短いとされています。

アメリカのDr. Huda Zoghbiにより2005年に同定された比較的まだ新しい疾患です。それ唯に現在、医療関係者の間ではほとんど知られていません。発見当初の報告症例は約100例と珍しい遺伝子疾患と考えられていましたが、遺伝子検査の進歩により患者数も増え、当初考えられていたよりも多くの患者がいるのではと見られています。

日本では、2017年にレット症候群とMECP2重複症候群の合同研究班が発足し、実態調査が行われました。その結果、国内に50人程度の患者がいることが分かりました。

2015年12月には、アンチセンス核酸薬(ASO)を用いたマウスへの遺伝子治療で疾患の特徴的な症状を抑えることに成功したと発見者であるDr. Zoghbiが発表しています。その後、2024年には患者対象の治験(ATTUNE)がアメリカで始まりました。また、同時期に中国でもCRISPR/Cas13を使った治験(HERO)が始まっています。

肢体不自由児(者)であることが多く、発語レベルも無いもしくは低いため、自ら何かを発信することが難しく、当初認知能力も低いと考えられていました。しかし、患者家族の努力により、視線を利用したコミュニケーションツール(eye-tracker)などの導入を行い、言語理解や認知能力は当初考えられていたよりも高いと多くの家族から報告がされています。

日本では2019年7月に小児慢性特定疾病、2024年に指定難病に追加されました。また、2021年にはMECP2重複症候群の遺伝子検査が保健収載となっています。