アメリカと中国で治験が始まったことで、家族が「治療」に関する正しい知識を学び、情報を見極めるスキルの重要性が、これまで以上に高まっていると感じます。私たち家族は、子どもたちの症状と日々向き合う中で、MECP2重複症候群について一定の知識や経験を得てきました。しかし、それは主に症状に関するものであり、疾患のメカニズムや治療に関してはまだ学ぶべきことが多いと感じています。
この度、私たち家族会は、研究者の視点から専門的な知識を提供してくださるサイエンスアドバイザーとして、辻村啓太さんをお迎えしました。辻村さんは、元々レット症候群の研究をされており、その後MECP2重複症候群の研究にも取り組まれてきました。これまで、合同シンポジウムや研究協力を通じて交流を深めてきました。
現在は内資系製薬企業にお勤めですが、専門知識を活かしたプロボノ活動(社会貢献的なボランティア活動)の一環として、家族会をサポートしてくださることになり、私たちにとって、とても心強い存在です。
Let’s welcome Dr. Tsujimura!
ご挨拶
本家族会のサイエンスアドバイザーを務めさせていただくことになりました辻村です、どうぞよろしくお願い致します。
これまでアカデミア(大学)においてMECP2の研究を長年行ってきました。その過程で、疾患モデルマウスや患者さん由来iPS細胞を用いてMECP2重複症候群のメカニズム研究も実施してきました。MECP2重複症候群の研究では本家族会にご協力いただき、患者さん由来iPS細胞の樹立やMRIによる脳イメージングを遂行してきました。今後も基礎的な研究より得られた知見を本疾患に対する有効な治療法の開発に繋げていきたいと考えています。
現在は企業において医薬品の研究・開発に携わっております。アカデミアと製薬企業、海外での研究開発経験を活かし、微力ながら本家族会および患者様・ご家族の皆様にサイエンスの観点からお役に立てるよう努力していく所存です。
医薬品開発や科学的なところで気になることがありましたらお気軽にご連絡いただければ幸いです。
(本活動はプロボノ活動の一環として参画させていただいております)
略歴
氏名: 辻村啓太
2005年 学校法人 東京理科大学理学部二部化学科 卒業
2010年 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 博士課程 修了 (学位: バイオサイエンス博士)
2010-2013年 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 博士研究員
2013-2015年 国立大学法人 九州大学大学院医学研究院 特任助教
2015-2020年 国立大学法人 名古屋大学大学院医学系研究科 特任助教
2017-2020年 国立大学法人 名古屋大学高等研究院 ユニットリーダー(兼務)
2020-2023年 国立大学法人 名古屋大学大学院理学研究科附属ニューロサイエンス研究センター 特任講師・グループディレクター(研究室主宰者)
2020-2023年 国立大学法人 名古屋大学高等研究院 フロンティア・ユニットリーダー(兼務)
2021-2022年 米国ハーバード大学医学部・マサチューセッツ総合病院 Radiology 客員講師(兼務)
2023年-現在 内資系製薬企業にて研究開発に従事
※上記の研究開発の過程で、日本医療研究開発機構(AMED)の4つの大型研究費プロジェクトの研究開発代表者を務めてきた経験を有する。
Click here for his English CV.